オンボーディングは3か月で終わらない

「教える」から「任せる」へ─期待を共有する構造はできていますか?
「オンボーディング」というと、入社直後の受け入れや初期教育を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。会社のルールを教え、仕事の流れを説明し、OJTで基本業務を覚えてもらう。多くの企業では、こうした取り組みが3か月ほどで一区切りになります。
しかし、本当にそこで終わりなのでしょうか。
むしろ、3か月を過ぎてからが、オンボーディングの本番だと考えています。
3か月後に変わるのは、新入社員ではなく会社の期待

入社から3か月ほど経つと、現場では少しずつ期待が変わっていく場面が見られます。
「基本的な仕事は覚えたはず」
「そろそろ自分で考えて動いてほしい」
「細かな指示がなくても進められるようになってほしい」
こうした期待の変化は、ごく自然なものです。
一方で、新入社員はどうでしょうか。
「まだ確認しながら進める段階だと思っている」
「判断して失敗するくらいなら、確認してから進めたい」
そう感じていることもあります。
ここで問題なのは、どちらが正しいかではありません。
会社の期待は変わっているのに、その変化を共有する構造は、入社直後のままになっていることです。
期待は、会議で決まるものではありません

期待の変化は、会議で正式に決まるものではありません。評価制度が改訂されるわけでも、辞令が出るわけでもありません。
現場では、上司や先輩の頭の中で、期待だけが静かに変わっていくことがあります。だから、本人は「何が変わったのか」に気づけません。
その結果、本人は「まだ教えてもらいながら進める段階」という認識のまま仕事を続けます。一方で会社は、「もう少し自分で判断して動いてほしい」という期待を持ち始めています。
こうした認識の食い違いは、本人の能力や意欲だけでは説明できません。期待の変化が共有されていないことも、一つの要因として考えられます。
足りないのは、「教える仕組み」ではなく「期待を共有する構造」
多くの会社には、
- 教えるためのOJT
- 教えるための面談
- 教えるためのチェックリスト
があります。
しかし、「ここから会社として、こういうことを期待しています」と、その変化そのものを共有する仕組みは、意外と少ないように感じます。
教える構造は終わった。でも、任せる構造は始まっていない。
ここでいう「任せる構造」とは、会社の新しい期待を本人と共有していく仕組みのことです。
その空白が、「思っていたより育たない」「期待していた姿と違う」という認識につながることもあります。
大切なのは、「期待を共有する構造」をつくること

オンボーディングの取り組みを考えるとき、「どんな制度を導入するか」に目が向きがちです。
1on1、評価制度、キャリア面談。どれも大切な取り組みです。
しかし、その前に一度立ち止まって考えてみてください。
会社の期待は、成長に合わせて変化していますか。そして、その変化は、本人にも伝わる構造になっていますか。
オンボーディングは、入社後3か月で終わるものではありません。
その問いを持ち続けることが、職場づくりの第一歩だと考えています。

